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【新・関西笑談】みんぱくのアンデス博士(1)国立民族学博物館教授・関雄二さん(産経新聞)

 ■神殿を掘れば、社会がわかる 「貴婦人」の墓発見に鳥肌たった。

 考古学は掘ればいいってもんじゃない。昨年、アンデス文明の遺跡で女性の墓を発掘した国立民族学博物館(大阪府吹田市)の関雄二教授(53)の話を聞いてつくづく思った。現地の村でミスコンテストの審査員長をしたり、偽名を使って盗掘品の売買ルートを調査したりと“本業”以外にも忙しかったそうだ。アンデスをこよなく愛するこの先生、ただ者じゃなさそうナンデス…。(聞き手 杉村奈々子)

 −−昨年、南米ペルーで大きな発見をされました

 関 紀元前900〜800年ごろの女性の墓だったのですが、パコパンパという村で見つかったので「パコパンパの貴婦人」と騒がれました。

 −−貴婦人。すてきな呼び名ですね

 関 ペルーでは発見に愛称をつけるのがはやりで、新聞記者が名前をつけろとうるさくて。僕たちは便宜上「Cの0902」と呼んでいるといったら、それじゃあ話になりませんっていうから(笑)。

 −−発見を伝えるこの新聞、見開き2ページに写真、図解まで。すごいですね

 関 発掘現場にイラストレーターを連れてきて、遺跡のどこに墓があって、どういう状態で骨が発見されたのかなど細かく聞かれました。この図はちょっと間違ってるんだけどねえ、まあ仕方ない。

 −−遺跡への関心が高いのですね

 関 ええ。それで一つ失敗談があって。プレス発表をした翌日に、さっそく誰かが無許可で撮影した墓の映像がテレビ会社に流れて、そのテレビ映像がインターネット上の動画サイトに出ちゃったんです。国の役人が視察に来る前だったからちょっと困りましたね。昔じゃ考えられないことですよ。

 −−それだけ大きな発見だったのですね。「貴婦人」が見つかったのはどんな遺跡ですか

 関 ペルー北部で海抜2500メートルに位置しています。紫外線が強く、日焼け止めがないとやけどします。遺跡は紀元前1200年〜紀元前500年ごろの大きな神殿の跡です。この時代はアンデス各地に神殿が次々と建てられて、どうも神殿での活動を中心に社会が成り立っていた。神殿を掘れば社会がわかる、という論理で調査しています。

 −−歴史が苦手なのですが、「貴婦人」の時代の日本は…

 関 縄文時代後期にあたります。世界ではエジプトやメソポタミアで文明が発達していました。

 −−この「貴婦人」はどんな女性なのでしょう?

 関 身長は155センチほどですが、当時の女性の平均身長は145センチ。男性でも150センチでしたからかなりの大女です。この時代の墓はいくつも見つかっているのですが、女性で、しかも位が高いことを示す金製品と一緒に埋葬されていたのが珍しかった。

 −−日本では「パコパンパの貴婦人」ではなく「アンデスの卑弥呼」と報じられましたが

 関 これは、ペルーじゃなくて日本の記者の強いリクエストで(笑)。時代としては卑弥呼より千年近く前ですし、貴婦人は卑弥呼とは違い、まだ「国家」なんか語れないような時代の人ですから、意味合いは違うのですが、まあ日本人に分かりやすければよいかなと。

 −−お墓を発見した瞬間の気持ちは

 関 ヤバイッ(笑)。女性の骨だとはすぐには分からなかったのですが、金が見えたのでこれは大発見だと。鳥肌がたって血の気が引きました。

 −−発掘の醍醐(だいご)味ですね

 ここで調査を始めて5年。興奮しました。

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by kfx0w2zq4u | 2010-03-11 09:12